奈良公園

奈良公園 飛火野(wikiより)

基礎データ

  • 所在地:奈良市
  • 設計者:多数
  • 成立年:明治13(1880)年
  • 利用状況:店舗有|宿泊有
  • 見学条件:自由

成立背景

奈良公園の成立過程については、別記事を設けて解説しておりますので、こちらを御覧ください。

奈良公園成立前史

また、当ブログでは奈良公園における芝生景観や森林景観の変遷に関する研究も行っています。

奈良公園と芝生

解説

全体像

奈良公園全体像(仮)

この図は、都市計画法にもとづく「奈良県立都市公園 奈良公園」の指定地区に加え、関連施設である国有地と関連寺社地を示したものだ。

 奈良公園の対象範囲は、都市計画法にもとづく「奈良県立都市公園 奈良公園」の他に、文化財保護法にもとづく「名勝 奈良公園」、都市計画法にもとづく「春日山風致地区」、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法にもとづく「歴史的風土特別保存地区」および「歴史的風土保存区域」など無数の定義があり、また過去数回に渡り公園地の編入と解除を繰り返していることから、厳密な境界を規定することは難しい。そこで本論では図の通り、現在の「奈良県立都市公園」としての奈良公園敷地に加え、興福寺・東大寺・春日大社・奈良県庁敷地・奈良国立博物館敷地など、かつて奈良公園敷地に編入されていた隣接地も分析の対象とした。都市公園としての指定面積は502ヘクタールと広大であり、周辺施設も含めれば総面積はおよそ660ヘクタールに及ぶ。

 公園敷地の大半(約92%)は山林で構成されており、その大半が杉林である。山林は名勝として知られる「若草山」、春日山原生林で知られる「花山」、その奥に人工林が広がる「芳山」が特に主要なものである。

奈良公園平坦部地図(仮)

 一方奈良公園の平坦部は、開放的な芝生の広場と鬱蒼としたスギ-クロマツの混成林が入り混じり、その合間に多数の国宝指定・世界遺産登録物件や公園施設が点在するなど、複雑な構成を有している。我々が奈良公園と聞いて思い浮かべる「大仏(東大寺)」「鹿」「芝生」の風景はむしろこちらの風景であるが、公園にしめる面積で言えば、その9倍近い山林を後ろに控えているのである。

平面構成

 奈良公園平坦部を読み解くには、敷地を「井」の字を描くように貫く4つの主要道路に着目し、公園平坦部を以下の10のエリアに区分するのがわかりやすいだろう。

奈良公園と4つの道路

三条通り(および春日大社参道)
奈良中心市街地を東西に分断する目抜き通りである。JR奈良駅を起点に興福寺や猿沢池に繋がり、その東端は春日大社参道にそのまま連結される。公園内を通る主要な歩行者動線の一つである。

登大路(国道369号線)
三条通りや春日大社参道の北を並行して走る幹線道路である。沿道には近鉄奈良駅・東大寺・奈良県庁・奈良国立博物館が並ぶ。公園内をとおる主要な車道線の一つである。

奈良名張線(および東大寺参道)
東大寺参道をそのまま公園南端まで延長する道路である。沿道には春日野園地や飛火野園地が並ぶ。奈良公園を抜けると東に折れてそのまま三重県名張市まで接続されるが、曲がらずにそのまま南下すれば奈良町へと接続される。公園内を通る主要な歩行者動線の一つである。

上街道(国道169号線)
古代では上ツ道と称された奈良盆地を南北に縦断する道路である。かつては奈良ホテル前が終点であったが、荒池堤防工事に伴い奈良公園中心部まで延長された。公園内を通る主要な車道線の一つである。

奈良公園と10のエリア

 上述の4つの道路によって、公園を10のエリアに分類する。

奈良公園平坦部の構成(要トリミング)

①県庁前エリア
現在では奈良県庁や地方裁判所・警察庁が立ち並ぶ官衙街であり、同時に文化ホールや県立美術館が集積する文化的な空間である。

②氷室神社エリア
吉城園・依水園などの名園が並ぶ他、観光客向けの土産物屋やバスの発着点が密集する。

③春日野エリア
芝生の広場と、その東に位置する若草山が一体となった開放的な公園地である。

④興福寺エリア
興福寺の境内であるが、かつて奈良県庁や図書館、武徳殿などが建てられていた跡地には、芝生が広がる。

⑤博物館エリア
片山東熊設計の奈良国立博物館と、造園家小沢圭次郎設計の西洋的なランドスケープ、そして関野貞による旧奈良県物産陳列所などが立ち並ぶ。

⑥境内林エリア
萬葉植物園がある他は、春日大社の鬱蒼とした森林が広がる。

⑦猿沢池エリア
奈良公園と奈良市街地の境界に位置する空間である。奈良ホテル含む宿泊施設が、猿沢池を中心としながら点在する。

⑧浅茅ヶ原エリア
荒池・鷺池などを有する親水性の高いエリアである。南部には瑜伽神社や奈良町天神社なども。

⑨飛火野エリア
かつては奈良離宮建設予定地として宮内庁に提出されたが、その後活用されないまま返却された、なだらかな起伏のある草原。東には鹿の保護・管理を行う鹿苑があり、その先は春日大社原生林が広がる。

⑩東大寺エリア
東大寺の境内、およびその子院で構成された空間である。廃仏毀釈を免れた堂塔群と大仏池・山林が広がる。

建築

公園敷地に内包・隣接する施設としては

など、多数。

利用案内

奈良公園クイックガイド(公式HP)

参考文献

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA